両側奥歯がない場合の部分入れ歯について

両側奥歯がない場合の部分入れ歯について

両側奥歯がない場合の治療方法として、患者さまのご相談で多いのは、インプラントをするかどうか迷っているというものです。

「骨が薄いがギリギリできるでしょう。」

と先生から伝えられ、

「たとえインプラントができたとしても、今後長く保つことができるのか心配になってしまった。部分入れ歯も検討してみたい。」

とのご相談をお引き受けすることがあります。

通常、保険で適応される部分入れ歯は、失ってしまった歯の手前に金属の金具をかけて前歯の裏側に金属を通して反対側まで繋げるようなものです。

しかし、このようなタイプの部分入れ歯は、金具をかけた歯に負担がかかり、次第にグラグラさせてしまい、近い将来失うことを免れることはできません。

見た目にも入れ歯であることが気づかれてしまうため、昨今では金具の見えないシリコンタイプの部分入れ歯もありますが、構造は同じため、歯を守ることは難しいと思います。

それでは、両側奥歯を失ってしまった場合、残っている歯を守るためにはどのような方法があるのでしょうか。

当院では、ドイツ式入れ歯、リーゲルテレスコープという部分入れ歯をお勧めしております。

患者さまの治療例をご紹介させていただきます。

両側奥歯の治療方法

向かって右側が4本、左側を2本失っており、インプラントには不安を持っていらっしゃったため来院されました。

少ない本数に負担をかけるのではなく、すべての歯を利用、力を合わせ分散させ奥歯の入れ歯を負担するものです。

すべての歯を連結し、直接歯に被せる内冠です。

リーゲルテレスコープ

その上から、取り外しができるブリッジタイプの部分入れ歯、リーゲルテレスコープの外冠を被せます。

リーゲルテレスコープ外冠

入れ歯の中に鍵がかかる仕組みになっていて、鍵の開閉により着脱ができます。

お口の中に入れた状態です。

しっかりと安定感があり、口の中で動くこともありません。

装着後の感想をいただきました(^_^)

歯の不調で悩まれている方の参考なればと、一応私のこれまでの体験を書きますね。 

〜稲葉歯科医院にたどりつくまで 〜

●小さい頃から歯が悪かったのだけど、歯医者さん恐怖症(笑)。

一年に何回か行ってたはずなのに、当時通っていた歯科医院の先生の顔も診察室の内装もよく覚えてない!(どんだけ怖くて目をつむっていたんだろう???謎です

●ちょうど30才位の時、一念発起して(笑)一年位かけ上下全て治療をする

その際この度稲葉歯科医院で義歯を作っていただいた下顎は奥左右ともにブリッジになる

●それ以降、3ヶ月に一度位のペースで、全体の調子見と歯石取りに通院する

●10年くらいはほぼ大きな治療なく過ごす

●43才位の時、食事中片側の歯に違和感を覚える(固いもの噛んだ時だったかな?)

●歯科で診てもらい、ブリッジが破損していることがわかる

●片側部分入れ歯になる

→が、痛くてまったく噛めず、また義歯を支える為に金具を引っ掻けている歯も痛く次第に入れ歯をしなくなっていく

●そんなこんなで定期的に通っていた歯科にもだんだん行きずらくなる

●自然、反対側ばかりで噛むようになり、(もうその頃は、入れ歯は全く使っていませんでした)一年ほどして、そちらのブリッジも破損

●さすがにどうにかしないとといろいろ考え始め、インプラント対応の歯科医院に行ってみる

●インプラントをするのは無理そうと判明。(歯を埋める為に顎の骨を増やす手術が何度か必要で、まずそれに一年半くらいかかるのと、それをしてもちゃんと骨が形成されるかどうかはやってみないとわからないとのこと)  

と同時に、歯医者さん恐怖症再び発症!(笑)

だってホントに怖かったんです…。まったく顔見て話しをしてもらえなかった

●入れ歯についていろいろ調べ始める

→そして稲葉歯科医院のホームページにたどり着く!

〜稲葉歯科医院でのこと〜

●かなり遠方だったので迷いもあったのだけど、ホームページを見て、とにかく一度相談に行くだけ行ってみよう!と初めて伺う

●ゆりこ先生に初対面! 

私の経緯、不安に思っていること、質問を丁寧に優しく聞いてくださり、その上で、先生が今そして先の私にとってベストと思う治療の説明、どのくらい期間を要しそうか、どのような感じで治療を進めるかなどを分かりやすく説明して下さる

●来院するまであった不安はすっかりなくなって、ゆりこ先生にお任せしよう!と、次回より治療開始

●1ヶ月から2ヵ月に1回ペースで(遠方ということをとても気にしてくださり、伺った時にはその日出来る限りのことを行えるよう、お忙しいなかゆっくり時間をとってくださいました)、何度か来院し、半年くらいで義歯、リーゲルテレスコープ完成!

以上が義歯完成までの流れです。

私がゆりこ先生にお任せしよう!と思ったのは、義歯自体が素晴らしいかも、と思った

(噛めるとか、残存歯に対すること)のはもちろんだけど、先生やスタッフさん、医院自体に何かとても温かくて、行けば勇気がでるような何かを感じたからだと思います。

大人になって、初めて病院の先生の前で涙がでました

あっ、怖いからじゃなくて、安心して嬉しくてですよ~。 治療そのものもだけど、治療した次の日もその患者さんが少しでも不都合なく過ごせるにはどうしたらいいかとか、治療がスムーズで予定より早く済んだら、せっかく東京まで来たのだから楽しんで帰れるようにとか、いつも温かい心遣いが満載なのです。

そして、肝心の(笑)、私の義歯リーゲルテレスコープ、 下の前歯は治療の必要等はなかったのでそれらを内冠でつなげ、支えにして、取り外しのできるブリッジのようにして、下全体の義歯を作っているかんじです

今1カ月と少しなのですが、日々体に馴染んできています。びっくりするくらいに。   

最初の10日程は、違和感はあるけど痛みや噛めない等はほぼなく(初日からいきなり牛スジカレー食べました)、むしろブリッジの時より、全体的に噛めているかんじで、日々着実に美味しく食べれるようになってきてます。

これからどんどん自分の体の一部になっていくのが楽しみです。

とってもとっても長くなってしまいましたが、以上が私の体験です。参考のひとつになれば幸いです。

 

2014年(平成26年)に装着させていただき、あれから7年が経過しました。

7年使ってみて、どのような状態か、感想をいただきました。

稲葉歯科医院のYouTubeチャンネルもぜひ、ご覧くださいね。

 

筆者プロフィール

著者

稲葉歯科医院
院長 稲葉 由里子

■経歴
  • 1997年 日本歯科大学卒業 歯科医師免許習得
  • 1997年 日本歯科大学研修医
  • 1998年 東邦大学大橋病院 麻酔科で一年間研修医
  • 1999年 稲葉歯科医院 開業
  • 2010年 医療法人社団 秀峰会 設立
  • 2016年 テレスコープ義歯専門技工所 Weber dental labor 開設 現在に至る
  • ※ドイツやスイスで各種研修を受講
■所属
  • IPSG総務理事
  • Weber dental labor 代表
  • EPA ヨーロッパ補綴学会 会員
  • ISOI国際インプラント学会 会員
  • WDAIインプラントアカデミー 会員
  • 顎咬合学会 認定医
  • スイス商工会議所 正会員
  • ドイツ商工会議所 正会員
■患者さまへのメッセージ

奥歯を失うと、片方だけで噛むような癖がついてしまいます。 残っている周りの歯に負担がかかるだけではなく、顔の表情にも左右差が現れるなど、 連鎖して様々な部位に症状が現れます。

第一選択肢として、インプラントが考えられますが、インプラントが怖い方、骨が弱い方、ご病気をお持ちの方もいらっしゃいます。
そのような方へ、取り外しができるブリッジのような感覚でお使いいただけるドイツ式入れ歯、テレスコープ義歯をご紹介させていただいております。
入れ歯の中に鍵がかかるようになっているため、鍵を開かない限りは決して外れることはなく、舌で持ち上がることもないため、入れ歯であることも気づかれません。

たくさんの症例を経験して参りましたので、 これまでの患者さまの経過も含めブログにご紹介させていただきたいと思います。

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